アメリカ市販品調査レポート 2021春
WFMの食品トレンド予測を
基にした
米国市販品
独自調査レポート
前回のコラムでは、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が発表した2021年の食品トレンド予測をお届けしました。今回から3回にわたり、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2020年12月)
Whole Foods Marketによると、現在ビタミンCやキノコ、アダプトゲンハーブなど、心を癒し、そして免疫をサポートする機能性成分を含む商品が注目されてきています。
Navitas Organics社の商品は、「アダプトゲン」を含む、マカ、レイシ、アシュワガンダの粉末をブレンドしたものになります。アダプトゲンは、活力の向上や、身体的および精神的なストレス因子に対する体の抵抗力の向上をサポートする効果が期待されており、本商品を小さじ1杯分スムージーに加えるだけで毎日簡単にアダプトゲンを摂取することができます。原材料は全てオーガニック、グルテンフリーであり、同社によると、あらゆるスムージーに加えることができますが、特にナッツバターやカカオと組み合わせると美味しいようです。
Om Mushroom Superfood社のキノコの粉末ブロス(出汁スープ)は、心と身体の両方に栄養を与えることを目的とした商品です。パッケージは1食分ずつになっており、8oz(約240ml)のお湯に混ぜるだけでスープが出来上がります。1食分に約3,600g分のキノコの栄養素が凝縮され、原材料には、シイタケ、マイタケ、カワラタケ、レイシ、ヤマブシタケ、エリンギ、その他、えんどう豆タンパク質や、ハーブとスパイスをブレンドしたものなどが使われています。
同社によれば、本商品は、免疫力、消化、関節および骨、髪および皮膚、爪、ストレスマネジメントなどをサポートすることを目的としています。
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アメリカでは昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務をする人が増え、週末だけでなく毎日の朝食に注目が集まる傾向にあります。
パッケージに“Made from Plants (not chickens)”とのキャッチコピーが謳われているように、Eat Just社は植物性の「卵」を製造・販売しています。同社の商品では植物性の「液体卵」が最も有名ですが、2020年からは「JUST Egg Folded」という四角型の冷凍オムレツが販売開始となりました。トースターやオーブン、電子レンジで温めるだけですぐに食べることができ、パンに挟めば簡単に朝食用サンドイッチが出来上がります。
主な原材料は非遺伝子組換えの緑豆で、鶏の卵ではないためコレステロールは含まれておらず、オムレツ1つ(57g)当たりのタンパク質量は7gと、鶏卵とほぼ変わりません。
また、同社の商品は、健康に良いという利点だけではなく、環境保全もコンセプトのひとつになっています。従来の鶏卵に比べ、製造過程において少ない土地と水で生産することができ、二酸化炭素の排出量も少なく環境に優しい商品です。
Birch Benders社は、2020年からケトジェニックダイエット対応のカップ入りパンケーキミックスを販売しています。カップに1食分のパンケーキミックスが入っており、水を加えて混ぜ、電子レンジに60秒ほどかけるだけでグルテンフリーのパンケーキが完成します。ケトジェニックダイエットは炭水化物(糖質)の摂取量を抑えて、脂質からカロリーを摂取する食事方法です。本商品には小麦粉の代わりにアーモンドフラワーが使用され、クラシックメープル味の場合、1食分でカロリーは210kcal、脂質は17g、糖質は5gとなっています。
同社は2014年からパンケーキミックスを販売しており、卵も牛乳も使わずに、水だけで美味しいパンケーキを簡単に作れる商品としてアメリカで人気になっています。”Pancakes for Every Lifestyle”という言葉を掲げ、消費者の多様な食志向に対応できるよう、パレオダイエット向けのパンケーキミックスや、卵の代わりにえんどう豆タンパク質を使用したパンケーキミックスなどユニークな商品展開をおこなっています。
新型コロナウイルスの影響を受け、自宅で料理をする人が増加し、パスタやソース、スパイスなど食料棚に常備されている食品に対して新しさを求める人が増えてきています。
2020年夏からWhole Foods Marketで新しいビネガー(酢)の販売が開始されました。それがAcid League社のLiving Vinegarです。「生」、「無濾過」、そして野菜や果物、ハーブ、スパイスと共に発酵されているのが特徴で、生きた酵母が使われています。非加熱かつ無濾過のビネガーと言えば、アップルサイダービネガーが有名ですが、同社によると、りんご以外の野菜や果物を使用し、かつ豊かなフレーバーを持ち合わせているビネガーは、アメリカではこれまで一般的には売られていませんでした。例えば、「メイヤーレモン・ハニー」という商品の原材料には、水、メイヤーレモン果汁、蜂蜜、生酵母菌が使用されています。
また、「ストロベリー・ロゼ」という商品には、ロゼワイン、イチゴ果汁、生酵母菌が使用されています。同社によると、白ワインや赤ワインビネガーは広く販売されているものの、ロゼワインを使用したものはこれまでになかったということです。
同社のビネガーは、炒め物やサラダ、チーズ、スムージー、ヨーグルト、アイスクリームなど様々な食べ物に使うことができ、ホームページでは各商品のテイスティングノートや組み合わせると美味しい食べ物が紹介されています。
リングイネパスタの代用品として、Whole Foods Marketブランドから「ヤシの芽リングイネ」が販売されています。これはヤシの芽をリングイネに見立てたものです。パッケージから出して水で洗い、ソースと絡めて温めるだけでヘルシーな食事が出来上がります。Whole Foods Marketによると、本商品はグルテンフリー、パレオダイエット向き、ビーガン、低脂肪、コーシャーとなっています。パッケージの表面にも記載されているとおり、1食分(85g、パッケージの1/2に相当)のカロリーは15kcal、総炭水化物量は4gであり、小麦粉から作られる本来のリングイネと比較すると、非常に低カロリーとなっています。
以上のように、アメリカでは「簡単に調理できる」「健康志向」「美味しさ」を追求した新たな商品が登場しています。特に、朝食は食パンやベーグルなど決まったものになりがちなので、忙しい朝でも手軽にヘルシーに食べることができるメニューが増えるのは嬉しいと筆者も感じました。次回は第二弾をお届けします。
【参考資料】
Whole Foods Market Forecasts Top 10 Food Trends for 2021(2020.10.19リリース)
https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-forecasts-top-10-food-trends-for-2021
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